王国ファンタジア【流浪の民】
「これから戦う相手は、ただ攻撃を仕掛ければ勝てる訳ではない」

「え?」

「その強さ、私が指示するまで出し惜しみしろ」

「えぇ~?」

 嫌そうな顔をするヒイロウ。ベリルは柔らかい笑顔を見せて、言い聞かせるように口を開いた。

「ただそれを使う事だけが強さではないよ。『使い方』が問題なのだ」

「使い方?」
「この戦いで、それが解るかもしれんな」

 ベリルは少年の肩をポンと軽く叩き、どこかに行った。

「よく解んねぇや」
「あの人、格好いいね~」

 キクはぼそりとつぶやいた。すかさずヒイロウが、

「俺の方がカッコイイ!」
「はいはい」
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