王国ファンタジア【流浪の民】

それぞれに

 今日はここまでか……ベリルは少し疲れた様子で、集められた者たちが寝泊まりする宿舎に足を向けた。

「!」

 宿舎の窓に、いくつか灯りが見える。

 食事を済ませ、すでに部屋に戻っている人間がいるようだ。

「……」

 ベッドに転がりたい気分ではあるが、早めに交流をはかれるならそうしたい。

「この時間。女性の部屋は避けるか」

 つぶやいて、男たちが寝泊まりする方の宿舎に入っていった。

 かつては王都の警備兵の宿舎であった建物、大きな建物だがそれだけドラゴンに倒されている。という事だろう。

 王都に住む人々も、3分の1がドラゴンによって命を落としている。

 国のどこに現れるか解らないドラゴン。

 どこに逃げても無駄だという事を知り、人々は落ち着かない日々を過ごしているのだ。
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