王国ファンタジア【流浪の民】
 わからん……こいつの考えが……悩んでいる様子の彼女に、ベリルは薄笑いで返した。

「お前こそ、私の後をついて何が楽しい」
「あれ、気付かれてた? 勘いいな~」

 言ってフードを取る。黄金(こがね)色の瞳がベリルをとらえた。

 獣のように尖った耳、額には金と銀とが織りなす美しいマーブル模様の小さな角。

「……」

 少女は、ベリルの反応に眉間にしわを寄せる。

「もうちょっと驚くとか、してくれへんか……?」

「何が?」
「……」

 あかん。なんつー鉄仮面や……少女はうなだれて壁に頭をついた。

「雷電の民クラウンだな」
「……リスト見てたもんな、あんた」

「楽しかったかね?」

 ベリルは、再び問いかけるように言った。
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