王国ファンタジア【流浪の民】
 そないな理由なん? いや、ある意味カッコイイけど……

「私には崇高な理由も無ければ、憎しみもありはしない。だが、この世界を蹂躙(じゅうりん)されるのは許容しかねる」

「それだけ?」
「それだけではいけないのか?」

 あかん訳やないけど……

「人は、この世界以外で生きる事は出来ないのだよ」

「!」

 その言葉にハッとする。

「己の生きる世界を守ろうとする事が、おかしい事かね?」

 愁いを帯びた瞳がクラウンを見つめる。

「それは当然のことかもしれんけど、あんさんの行動力はすさまじいで」

「そうか?」

 ベリルはキョトンとした。

「……」

 このお人……本気で必死でやってたんと違うんやな。感服するわ。

「感服ついでに聞きたいんやけど」
「何だね?」
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