王国ファンタジア【流浪の民】

流れの中に

 賑やかな3人と別れ、ベリルは訓練場に足を向けた。

 剣を怠ける訳にはいかない。広い訓練場には、王国の兵士たちが剣の訓練をしている。

 討伐隊のメンバーは、この訓練場を自由に使っていいと言われているのだ。

「……」

 ベリルは、ミスリルで出来た剣を鞘(さや)から抜き精神を集中した。

 少し、苦い顔になる。大気の乱れが、ベリルの心にも乱れを作っていた。

「これは……難しい戦いになりそうだ」

 剣を鞘に収め、目を閉じる。深く、深く……自分の心の奥に踏み込んでいった。
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