王国ファンタジア【流浪の民】
「またドラゴンだ!」
「待て! 攻撃はするな」

 兵士たちの声に、ベリルが手で示して止める。

 ヴァラオムはゆっくりとベリルの近くに降り立った。その後ろには、

「ワイバーン? 連れてきたのか」
[うむ。通りすがりに飛んでいたのでな]

 それはワイバーンというモンスター。

 ドラゴンの眷属(けんぞく)とされているが、知能は低く腕が無い。

 その尾の先には、猛毒のトゲを持つ。性格は凶暴だが調教する事で乗りこなす事が出来る。

「3体か。有り難い」
「白いドラゴンだ……」

 サハナは、その美しい姿に見惚れた。

[さあ! 何をすればよいのだ]
「ヤツの体と首の付け根辺りに頼む」

 言うが早いか、ベリルはヴァラオムの背に飛び乗った。

 翼を大きくはばたかせ、ヴァラオムは空へ。

 それをドラゴンは紫の目で追う。

[おっとっと。危ない]
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