王国ファンタジア【流浪の民】
「! うっ」
「しまった! 間に合わない!?」

 セシエルに向かって吐き出された炎のブレスを、サレンスは追い切れなかった。

 燃え上がりながら地面に落ちてくる。

「……すまない」
「心配ないよ」

 ベリルは小さく笑った。

「あたた」

 焦げた臭いの漂うワイバーンから、頭を抱えてセシエルがモゾモゾとはい出てくる。

「!」

 驚くサレンスに、

「ドルメックから身代わりのアイテムをもらっていた。しかし次は無い」

 セシエルは残っている1体のワイバーンにふらつく足で駆け寄り、再び飛び乗った。

「では、私はこのままヤツの炎を制御すればいいのだな?」

「頼む」

「とにかく、あいつを倒せばいいんでしょっ? どうすればいいの?」

 マルタがニパッと笑って腕を振り回す。
< 173 / 246 >

この作品をシェア

pagetop