王国ファンタジア【流浪の民】
「……」

 その柔らかな瞳を地に向けて、ベリルを見つめる。

 お前が何者でも、俺にはどうでもいい。そんな理由でお前を友とした訳じゃないんだから。

 ただ1つ、しなければならない事は──

「ドラゴンを倒す事」

 巨大なドラゴンをギロリと睨み付け、ブルーに輝く矢じりのボルトを1つ取り出す。

「これだけデカイと、多少甘くても当たるよな」

 尾の付け根に狙いを定める。

“ジャコン! ……ドカ!”

「おっ!? 刺さったぞ」

 ベリルが初めに突き刺した剣。そこからドラゴンの守りは緩んでいた。

 そして、それが引鉄(ひきがね)となりセシエルの魔法の乗ったボルトはドラゴンのウロコを貫く。

「これなら!」

 2体のワイバーンがドラゴンの周りを飛び回り、ドラゴンはうっとうしそうにブレスを吐き出した。
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