王国ファンタジア【流浪の民】
「いってぇぇぇーー!! 血が出るっ」
「呼び捨てでいいって言ってんの!」

 キクはフン! と、ヒイロウの頭の上で鼻を鳴らした。

「バジルさんオレたちも!」
「おう!」

 グレードとバジルは駆け出した。ドラゴンによって怪我をした人たちを救わなくては!

「さて、ベリル。他の者にも指示しないとだろう?」

「!」

 サレンスが小さく笑って言った。ベリルはそれに目を伏せる。

「今更、何を気にする事が?」
「気にはしていない」

 ベリルは言ってヴァラオムの背に乗り、飛び立った。

「ふむ。自分は気にしていなくても、周りが気にしているかも。って処に躊躇したかな?」

 サレンスはベリルの考えを推測した。

 そしてドラゴンの頭部を見つめて、炎のブレスに注意した。
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