王国ファンタジア【流浪の民】
「ドルメック!」
「!」

 少し上からの声、見上げるとヴァラオムに乗ったベリル。

 ベリルは彼に、何かを投げ渡した。

「! ……これは」
「それを使え」

 ドルメックは渡されたものに苦い顔をする。それはマジックアイテムの入ったベリルの革袋。

「無理だっ」
「甘えるな!」

 言い放ち飛び去る。

「甘えるなって」

 俺が使えるのは民の雫だけだ……でも、それを使う気は毛頭無い。

 自分の核石だけで戦おうと思っていたのに。

「!」

 しかし、その目に映し出されたのはマジックアイテムの輝き。

 使えないハズなのに……!?

 この世界のものは全て何かに通じている。成り立ちは違えど、その核石は宝石とつながっている。

 それを、お前が使えないハズはない。
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