王国ファンタジア【流浪の民】
「可愛いーっ!」

 セシエルは満面の笑みでガバッ! と、キクを抱きしめた。

「……」

 それを見ていた周りの戦士たちはあっけにとられる。

「セシエル、キクが苦しがっている」
「あ、ごめんごめん」

 ベリルがようやく声をかけて、その腕をゆるめた。

「……」

 ていうか、なんだ? この違和感の無さ。

 25歳の身長180cmの大の男が、うずらを抱きしめてキラキラと笑顔になっている姿なのに何故、違和感も無く見ていられたんだ……

 そこにいた一同の、残っていた緊張が一気に解きほぐされる。
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