王国ファンタジア【流浪の民】
「!」

 レインが紙袋を開けると、中に1枚の紙切れが入っていた。

『何かあれば、遠慮せずに呼びなさい』

「……っなんだよ」

 レインはその紙を握りしめた。

『お前は1人ではないよ』

 たった一言に、その想いが伝わってくる。

 誰も信用出来なくて、1人で生きてきた少年がそれだけでベリルを信用するはずもない。

 だが、その言葉が少年の心に力を与えるだろう。

「クク……」

 ベリルはテーブルの上を片付けながら小さく笑った。

「! どうした?」

 セシエルが首をかしげる。

「いや、なんでもない」
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