王国ファンタジア【流浪の民】
「とりあえず討伐に参加したのなら、もう少し馴染めるようにはしておけ。お前1人でどうにかなる相手ではない」

 言って離れていった。

「「……」」

 人混みに紛れていく後ろ姿を、2人は見つめる。

「ごめんな」

 セシエルが苦笑いで少年に言った。

「なんであんたが謝るんだよ」
「いや、なんとなく」

 少年は、コップを握りしめ舌打ちをする。

「なんなんだよ……一体あいつ」
「あ~たぶん」

 セシエルは頭をポリポリとかきながら、

「参加する人間を確認して回ってるんだと思う」

「! なんでそんな事」

 聞き返した少年に、セシエルはニコリと笑った。

「そういう奴だから」
「……なんだよそれ」
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