王国ファンタジア【流浪の民】
 ベリルはニヤリと笑みを浮かべて、少年に顔を近づける。

「回りに冷気をまとった時に解った」
「!」

 そんな事で?

「どうやって僕の力を封じた」
「言っても解らんよ」

「いいから言えよっ」

 少年はイラつき気味に少し語気を荒くした。

 ベリルは仕方ないなと小さく溜息を漏らすと、説明を始める。

「精神的な力というものは、この世界とは別の次元にも通じている。そういう力はある意味、不安定でね」

 ベリルは一端そこで言葉を切り、目を丸くして聞いているセシエルを一瞥した。

「その不安定な部分に、何かの干渉を加えると相殺(そうさい)され今のようになる。という具合だが」

 言い終わり少年に目を向ける。

「ふ、ふーん。なるほどね」
「……本当に理解したのか?」

「当り前だろ!」

 ベリルはそんな少年にクスッと笑った。

「なんだよ!」
「いや別に」
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