王国ファンタジア【流浪の民】
 ムッとしたリエルという青年に、

「『武器の全てを尊重しろ』。と、学ばなかったかね?」

「!」

 言われて振り返る。

「……そんな武器、尊重する価値なんて無いね」

「クックックッ、素直じゃないな。あえて言われると腹が立つか?」

「うるさいな」
「リエル様!」

 青年をなだめるように、か細い声を必死に張り上げる。

 深い海を思わせる髪と瞳をしたサラは、ベリルに頭を深々と下げた。

「すみませんっリエル様は銃の試し撃ちがしたいから。と、ここにいるんです」

「わざわざ説明したって解る訳……」
「銃か」

 久しぶりだ。といった口ぶりに、リエルはぴくりと反応した。

「銃を知ってるのか?」
「うむ」
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