愛の楔



俺はすぐに部屋に戻り、眠っている美空を起こすのは嫌だったが、美空のためだ、と仕方なく美空を起こした。


「ん……」

「すまない」

「んーん、どうしたの」


目をこすりながら美空は起き上がる。
俺は、持っていた鞄を美空の前に置いた。


「これ、中身何だ?」

「んー?」


まだ起きたばかりで頭が回っていないようだ。
じいっと鞄を見つめ、あぁ、と頷く。


「中身は、私のパソコンだよ?」

「そんな鞄に入れるくらい大切なものですか?」


炯が、じいっと美空を睨むように見つめる。


チッと俺はまた舌打ちをして、鞄に手を置いた。


「これ、開けれるか」


< 54 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop