愛の楔
俺はすぐに部屋に戻り、眠っている美空を起こすのは嫌だったが、美空のためだ、と仕方なく美空を起こした。
「ん……」
「すまない」
「んーん、どうしたの」
目をこすりながら美空は起き上がる。
俺は、持っていた鞄を美空の前に置いた。
「これ、中身何だ?」
「んー?」
まだ起きたばかりで頭が回っていないようだ。
じいっと鞄を見つめ、あぁ、と頷く。
「中身は、私のパソコンだよ?」
「そんな鞄に入れるくらい大切なものですか?」
炯が、じいっと美空を睨むように見つめる。
チッと俺はまた舌打ちをして、鞄に手を置いた。
「これ、開けれるか」