薔薇とアリスと2人の王子


「王子様!? こんなナルシストっぽい頭悪そうなのが?」
「……黙って聞いてれば失敬なガキだな! 俺はどこから見ても王子だろうが!」

 その会話に弟が声をあげて笑ってね。兄はますます眉間に皺を寄せたよ。

「今のは幻聴だと信じて華麗にスルーしよう。俺は大人だからな……。それで娘、この町に魔女はいるか?」
「魔女? 何よ突然! そんなのいるわけないでしょ」

 アリスはキッと兄を睨みつけて言ってやった。
 その態度に兄弟は妙な様子を感じ取った。まだ幼いはずのアリスがやたらに強気でけんか腰なんでね。

「ふうん。残念だったね兄さん。まぁこんな初めから見つかるわけないですよね」
「あんた達、王子のくせに魔女探すためにわざわざ違う星から来たの?」
「王子なのは俺だけだ! こいつは違う!」

 兄だけはまるで違うことで話に参加する。
 アリスはうんざりした顔で赤毛の男を見上げた。初対面でこんなに面倒な人の相手をしたのは始めてだったんだ。


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