薔薇とアリスと2人の王子

 ドリューは頭の歯車をくるくると回して考えた。魔法の木?なんの事だろう。

「魔法……かは分かりませんけどぉ……。舞踏会に行けたのは、当日の朝、裏庭の木に凄く綺麗なドレスが引っかかっていたからなんです」
「裏庭の木ですって?」

 思わずアリスは身を乗り出した。

「ハシバミの木です。生前、母が遺してくれた……」
「生前? 今は母親はいないのかい?」

 カールがテーブルの上の調度品をいじくりながら聞いた。
 そういえば、イヴァンは我関与せずと窓の外なんか眺めてる。

「はい。今この屋敷にいるのは父と再婚した継母です。ほんっとにしょうもない中年女で……! 私を苛めに苛める、憎ったらしい厚化粧の姉さんたちを連れてきて……!」
「あの、ドリュー?」

 アリスの苦笑だ。

「ああ、スミマセン。私時々飛んでっちゃうんです」
「あ、そう……」




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