薔薇とアリスと2人の王子
ハシバミの木の話の前に、3人は彼女の生い立ちを聞いた。
貴族の生まれからこんな扱いになってしまったこと――全部ね。
「貴族の娘として暮らしていたのが今では女中扱いか。俺なら自殺するな」
イヴァンの言葉にドリューはぴくりと肩を揺らした。
「私だってねえ、どんなに我慢してるか……!」
ドリューは椅子が動くほど、身体をわなわなと震わせた。
心配したアリスが近寄ると急に立ち上がったんで、アリスはたまげたよ!
「あいつらが家に来た日……今思い出してもムカつくぜーっ!」
「ド、ドリュー。落ち着いて」
まもなく昼下がりだ。
ドリューが暴走から落ち着いた頃、次に彼女は悲しげに瞳を伏せて落ち込みはじめた。
「本当は、本当は今ごろ……私は王子様と結婚できてるはずなんです!」
「どういう事?」
「舞踏会に行ったとき、王子様は私にプロポーズしてくださいました。――でもあの“厚化粧たち”が近くにいたんで、返事をせずに帰ってきてしまいました……私のバカ!」
ドリューはあの夜のことを思い出して思わず手の平で顔を覆った。
アルフレート王子と踊れたあの日。あの夢のようだった時間を。
「ちなみに厚化粧たちって?」
「もちろん姉さんたちの事です!」
「あ、そうだったわね…」