薔薇とアリスと2人の王子

 アリスは困った。(あとの2人が困ってないわけじゃないけど、色々考えていないようだったからね)どうにかしてドリューを王子様と再会させる方法はないだろうか。

 1人でウンウン唸って考えても解決するわけないさね。
 アリスはとりあえず、自分たちの本来の目的である、魔法の木と噂のハシバミの木とやらを見せてもらおうと思った。

「ドレスが引っかかっていた木を見せてもらえないかしら?」
「構いませんけど……中庭は継母の庭園になっているので、侵入したのがバレたら大変ですよ」
「この人数で行ったらバレるわね」

 そこまで言って、アリスはイヴァンとカールのほうを見た。
 相変わらず調度品なんかいじくってて、こっちの話なんか聞いちゃいない。
 ため息混じりに言う。

「私とドリューで行きましょう! 馬鹿王子2人は足手まといだわ」

 するとイヴァンが嫌味ったらしく笑って言った。

「それはいいアイデアだ。あの香水臭い女に見つかりたくないからな」

 その声を背に聞きながら、アリスとドリューは客間を出ていったよ。


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