薔薇とアリスと2人の王子
売春なんて今のご世代取締りが厳しくてそんなに稼げやしない。
アリスには明日を生きる食べ物すら無かったんだ。
「明日はエドワードの相手して、やっと私のパンが買えるのよ」
本当の事を言うと、アリスは売春なんてさっさと辞めちゃいたいんだ。疲れるだけだし、たいした収入もないしね。
それでも、売春するしか生きてけない。可哀想な話だけど、本当の事だった。
そしてふと考えたよ。
「……いつまで続くのかな、この生活」
天国の大好きだった両親が知ったらどんなに嘆くことか。
十三歳という若さで体を売っているなど、我ながら哀れな境遇だとアリスは思ってね。
だってアリスは知っている。隣の街にいる同年代の女の子たちは、たくさんの服を持っていて、ケーキだって食べられて、学校へだって通えている。それが“一般的な”生活なんだってことを、アリスは分かっていた。
こんな生活をしているけどアリスだって馬鹿じゃない。
唯一の娯楽の読書を毎日しているから、アリスはけっこう頭が良かったんだ。
「はあ……。」
ため息が出たのは本当に無意識だった。
――その時だ。
アリスがいる庭先から続く化物の棲む森。そこから声が聞こえてきたのさ。