薔薇とアリスと2人の王子
「だーかーらー! 兄さんが勘で進むからこうなるんですよ! 馬もおいてくるし!」
「この俺が悪いというのか?」
そう、お忘れかもしれないが、まさしく冒頭のあの兄弟さね。
アリスはたまげたよ!誰も近づかない『バジリスクの森』から声が聞こえるんだもの。まさかあの森に人がいるなんて。
「大変。あの人たち、バジリスク怪物を知らないんだわ!」
アリスは大慌てで森に入っていった。
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アリスは恐怖を感じる間もなく森の中へ飛び込む。途端に辺りは真っ暗になってね、ドキリとした瞬間、アリスの前方に人影が揺らいだ。
何やら言い合いをしている少年と男の二人組みを見つけると、そちらへ駆けていきながらすかさず声をあげた。
「あなた達、何してるの!?」
アリスの声に二人の兄弟は飛びあがる程驚いていたよ。
迷子になった森の中で、突然自分たち以外の声がしたんだもの。そりゃあ驚きもするさ。
振り向いて見ると、金髪藍眼のまだ幼い少女が走ってくるんで更に驚いた。
「君、この国の人?」
弟の少年が聞いたけど、
「それより、この森は化物が出るのよ!早く出なさい!さぁ、こっち」
その言葉を遮って、アリスは2人をぐいぐい引っ張っていった。