クロスロード

「じゃあ、あの電話も……敢えて電話に出たの?」

「そう、だけど」


もう、何だろうこれ。

身体中の力が一気に抜けていく。脱力、ってこういうことなんだろうな。

てっきり嫌がられたのかと思ったけど違ったんだね。



「けどもう、そういう手段もないし」

「っ、」



冷たい手が頬を撫でる。

構えてなかったせいかびくっと身体が震えてしまった。



「逃げた方がいいと思、」

「やだ!逃げない!」



ここまで来てどうして逃げる選択をしなきゃいけないの?

私のこと気にかけてくれるのは嬉しい。本当に嬉しかったよ。


でもね、もう、無理だよ。



「俺、柚に何するか分かんない」



優しい声色。

頬を撫でる手が微かに震えていることに気づき、そっと自分の手を添えた。
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