クロスロード

「翠君なら、いいよ」



他の誰でもない。

翠君だからこんな風に思うの。


きっとこの先もずっと、変わらない。

10年間想い続けたんだから、信用あるでしょう?



ふ、と私が軽く笑ったのを合図に、ゆっくりと縮まる私と彼の距離。

どちらからともなく唇を重ねれば、今までの不安がすうっと身体から抜けていった。

まるで薬を使ったような効果。


私の悩みは殆ど翠君で、それを解消してくれるのも翠君。

なんだか私って本当翠君のことばっかりだなあ――、



「っふ、ぅ」



無理矢理こじ開けられた口に滑り込んでくる生温かいモノ。

強引に、でもどこか優しく翻弄される。

真っ白な頭の中、微かに聞こえた水音が頬の熱を上昇させた。



「……っふあ、く、るし…っ」



翠君の肩を押しやって唇を離せば、唇の端が濡れていることに気づく。

たら、と顎に垂れそうになる直前、ぐいっと翠君が袖口で拭ってくれた。
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