クロスロード
「ここ、どこ」
「……学校」
「分かってんなら離して」
……うん。そうだよね。
私が秘密にしたいって頼んだんだ。
騒ぎになるのを恐れて、翠君との間柄を隠した。
でも、嫌だよ。
離したくない、よ。
掴んでいた手を一瞬離した後、今度はしがみつくように抱きついた。
ブレザーの生地とネクタイが顔に当たる。
異常に低い彼の体温と、異常に高い私の体温が微かに中和された。
「……なに?」
頭上から降り注ぐ呆れを含んだ声。
否応なしに引き剥がされそうになり、必死で腕までも掴んでしまう。
それをするりとかわし、あっと思った瞬間、立場は逆転。
元々狭い本棚と本棚の間。
気づけば私の背中は本棚に押し付けられていた。