クロスロード
「舞姫のお家寄ってくださいよー、一緒にケーキ食べましょう!」
「ついでに俺も食うつもりだろ」
「えへへー」
「笑い事じゃねーよ。いいから離――…って、翠。帰るの?」
舞姫ちゃんに絡まれながらも視線は鍵閉めをしている翠君へ。
資料室を完全に封鎖し鍵を神崎君に渡せば「そうだけど」と、短い返事をしている。
「って、その子と?」
驚きを含んだ神崎君の声。それに連なって舞姫ちゃんも私の方を見る。
学校で関わったことなど一度もない私が翠君と一緒に帰るなんて不自然だろうな。
だから質問攻めにあうのを覚悟していた、けど
神崎君は「へえ」と特に突っ込みもなく生返事。
……興味がないだけかな。
「なんだー、副会長だったんですかあ。彼女さんですか?」
平均より低い私と同じくらいの目線―――舞姫ちゃんの笑った顔が映る。
な、なんて説明したらいいんだろう。
目を宙に泳がせ必死に考えていると、フイに腕を掴まれ引っ張られる。
「っわ、」
「ここの鍵閉めといて、皐月(さつき)」
「あー、はいはい」