アリスとウサギ

 気晴らしのはずの合コンは、思わぬ形でウサギ色になってしまった。

 アリスは彼への気持ちからいつ抜け出せるのか、ゴールが見えない不安を募らせる。

 彼と並べると隣の直人がすごく出来た人間のような気もするが、やはり彼のようにときめきは感じない。

 やめておけなんて言われたが、きっと狙うこともないだろう。



 カウンターの彼に目をやると、アヤと何やら話していた。

 ウサギの表情を見て、アリスの心に戦慄が走る。

 柔らかく微笑み、はにかんでいた。

 必要以上には近づかない。

 触れもしない。

 しかしアリスは酔っていても一瞬で見て取れたのだ。

 アヤはウサギにとって特別な存在だ、と。

 ファミレスに連れてくる美人でゴージャスな女たちなんて比べものにならないくらい、特別なんだと。

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