アリスとウサギ

 口だけは調子を取り戻したようだ。

 ハキハキとウサギらしく強気な口調に安心感を覚える。

 医者の話が終わったところで、アリスは彼に電源を切った携帯を返還した。

「アヤさん、明日着替えを持って来るって。店は従業員で回せるから、しっかり休めってさ」

 ウサギは一言、サンキュと言って電話を受け取った。

 ベッド脇の丸椅子に座り、手すりに腕をかけて頭を横に乗せる。

 暗くなったためか、窓からは何の景色も見えない。

 しばらくそうしていると、頭に熱を感じた。

 それがウサギの手だというのはわかっていたが、そのままじっとしてみる。

「ビビらせて悪かったな。アリスのおかげで生き延びた」

 アヤへの嫉妬によりあまのじゃくを目覚めさせたアリスは、すこぶるぶっきらぼうに返す。

「この貸しはデカいからね」

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