アリスとウサギ

 頭の上の方でクスッと笑い声が聞こえると、頭に乗せられた手が離れていった。

 一時はどうなるかと思ったんだから……。

 口には出さないが、彼の身を案じて精神的にかなり参ってしまっている。

 それでも意地を張れるくらいだから、余力はありそうだ。

「俺の借り? つーかパソコン貸しただろ」

「それは寝てる間に返したはずよ」

「覚えてないくせに」

「思い出したくもないし」

 ウサギも、これだけ口が立てばもう大丈夫だろう。

 細かい検査結果だって、自分には知る必要のないこと。

 ウサギとは他人なんだから。

 アリスは手すりから頭を上げて一旦伸びをした。

「あたし、帰るね」

「あ……ああ」

「お大事に」

 バッグを持って立ち上がると、ピッとジャケットが引っ張られた。

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