アリスとウサギ
「そうだったんですか……」
アリスは運命的な二人の再会に、目に見えない絆のようなものを感じた。
「ウサギとよりを戻さなかったんですか?」
嫉妬混じりに問いかけると、アヤは変わらぬ落ち着いたトーンで答える。
「私はそんな気にならなかったわ。旦那が残してった息子がいるもの」
私「は」という表現に、ウサギにはその気があったことが読みとれる。
アリスの頭の中に昼間のプロポーズの言葉がこだました。
「まあ、私がここで働けることになったから、手が空いた啓介は大学に通い直すことを決意できたわけだし。いい巡り合わせだったと思ってるの」
そういって笑ったアヤは、新たに何かをグラスに作り、空になった早苗のグラスと交換する。
話を聞いている間、アリスは一口もカクテルを飲むこともできず、溶けた氷が分離して美しいグラデーションを作っていた。