アリスとウサギ

 ウサギのことを知れば知るほど、一般的な大学生とはひと味違う。

 そもそも年だって違うし、経営者だなんてどう考えてもスペシャル。

 アリスはどこにでもいる女子大生。

 彼氏は欲しいが一癖もふた癖もある男との恋愛なんて望んでいない。

 ウサギがアリスを求めていたって、関係ない。

 あんな厄介な男、相手にして苦労したくないのだ。

「奈々子ちゃん。啓介って、本当はまじめで優しい男よ」

 アヤの真剣な瞳に見つめられたって、まじめで優しいところなんて見たことがないから信じられない。

「ウサギは……私の前では、女たらしでろくでなしです」

「え?」

「私のバイト先に連れてくる女たちには優しいですけど……私に対しては意地悪です」

 アリスは中身が分離したカクテルをグビッと半分飲んだ。

 これまでの彼の言動を思い出し、アルコールが鼻を抜けるのと同時に目頭が熱くなる。

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