アリスとウサギ

 付き合っているわけじゃなくても、そういうことをするタイプだとはアリスもわかっていた。

 それはいい。

 しかしヤリ逃げとはいかがなものか。

 平気な顔でなんでと聞かれると、腹が立つ。

「一般的女子の意見よ」

 ぽつりそう答えると、ウサギは無関心に目を閉じた。

「あっそ。つーか2限受けんの?」

「空きだけど」

「じゃあ12時に起こして」

「はぁ?」

 はいとも言っていないのに、ウサギは顔を反対に向けて寝息をたて始めた。

 何なのよ、こいつ。

 やっぱ最低男じゃん。

 アリスは彼にときめいてしまったことに反省し、レポートをまとめることに専念した。




 隣からウサギの寝息と香りが伝わる。

 特に香りが届いたときは逐一目で確認をしてしまう。

 集中できず、進まない。

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