アリスとウサギ

「名前、ホントにアリスちゃんていうの?」

「苗字が有栖川っていうんです。だからみんなにそう呼ばれてるんですよ」

「へぇ、珍しいね」

 20年生きてきて何度この会話をしただろうか。

 合コンのような出会いの席では、名前が理由で必ず話題にされる。

「彼氏は?」

「いたら参加してないですって」

「あはは、そうだよね」

 席を入れ替わり立ち替わりしながら、五人のお兄さんたちとくまなく話をしていく。

 早苗も他の女の子もそれぞれ会話を楽しんでいるようだ。

 そのうちに1対1で話したり2対2で盛り上がったりしてまとまっていき、アリスは直人という青年の隣に落ち着いた。

「へえ、直人さんってうちの卒業生なんですね」

「そうそう。この中じゃ俺だけ大学院出てないの。仕事も営業だし」

< 95 / 333 >

この作品をシェア

pagetop