アリスとウサギ

 直人は細い垂れ目で、柔らかい笑顔の好青年だ。

 営業というだけあって腰が低く、人当たりが良い。

「取引先と飲みに行くことも多くて、そろそろメタボだよ」

 なんて言いながら腹をさする直人。

 アリスは笑いながら、

「スーツ着てれば全然わかんないですよー」

 なんて決まり文句を返す。

 彼が良い人であれば腹なんて関係ない。

 腹が割れていたって、ウサギみたいな男だったら意味がないのだ。

「ほんとに? じゃあもっと飲んじゃおうかな」

「じゃ、あたしもおかわり」

 結局アリスは、この直人とだけアドレス交換をした。

 ウサギを忘れられるような恋心は生まれなかったが、良いお友達になれるような気がした。

 一次会が終了し、私たちは二組に分かれた。

 帰宅組と二次会組。

 アリスと早苗、そしてもう一人女の子が二次会組。

 男勢もうまく三人になった。

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