蒼天ノ神
雹ちゃんと共に向かった先は昔、蒼ちゃんが創ったこの森の上に浮く空中楼閣
人間から見れば、ただの蜃気楼に見える場所。
榎歌「雹ちゃん…蒼ちゃんはあとどの位耐えれるの?」
雹「分からん。ただ、少なからずこの楼閣が消えてない時点で『蒼天』は死んでない。」
この会話を最後に会話が途絶える。
その間、いろいろと昔の事を思い出す。
幼かった私の面倒をみてくれたのは蒼ちゃんだった。
"蒼ちゃん"と初めて私が呼んだ時、そんな風に呼ばれた事が無かったんだろうな、すごくキョトンとしていた。
その後、私の頭を撫でながら"榎歌、可愛い名前をありがとう。"と言ったあの優しい笑顔
男の人なのに綺麗だって思った。
そんな蒼ちゃんの行方が分からない日が続いて、ぽっかりと心に大きな穴が空いてしまったような虚無感にみまわれた。
どうしようもなく淋しくて、同時に、どうしようもなく腹立たしかった。
どこかへ行ってしまうなら私も連れていって欲しかった。
雹「……い……おい!!」
雹ちゃん?
榎歌「どうしたの?」
雹「急げ、ここが消える。」
そう言うと私を抱えて飛び降りた。
榎歌「!!蒼ちゃんは!??」
雹「アイツが蒼天かもしれないが、楼閣が消える、分かるだろ?どっちにしろ結果は同じだ。」
地上に降り立つと時を同じくして楼閣は淡い光に包まれた。
光は真ん中に集まってスゥ−…っと青空に消えていく