幸せのカケラ
うなづいて夜空を見上げる、君の横顔を見つめる。




やっぱり、君は綺麗。

本当に、綺麗。






僕は、君の全てを知り尽くしている訳じゃない。



僕と共にいる君しか知らないけれど。

君の過去を全て知る訳じゃないけれど。

多分、君の人生の一部しか知らないのかもしれないけれど。



それでも、綺麗だと感じる事はできるんだ。




知らない事なんか、はっきり言ってどうでもいいんだ。



今、君とこうして話して、笑って、同じ景色を見つめて……。


君と同じ家で過ごして、愛娘がいて、朝は君の声で目覚めて、君の料理を食べて、娘への君の子守唄を聞いて。


君と娘が待つ家へと帰って、君の“お帰りなさい”を聞いて。



これからずっと、この先もずっと、君が笑ってくれるなら、君が僕に微笑んでくれるなら。


君との未来があるなら。



僕は、君の全てを知りたいとは思わないんだ。


君の人生の一部に僕がいるなら、それが誇りだから。






「ふふ…」


見つめる視線の先。


夜空を見上げている君の横顔が笑う。



「何?」

「うん、思い出し笑いしちゃった」



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