幸せのカケラ
公園のイルミネーションは、派手では無いが、考えていたよりも綺麗だった。



公園の木々には、ブルーの電飾が巻き付けられ、小さな蛍の様な光が、ささやかに輝いている。

まるで公園全体が、聖なる地に感じられる程。




君は瞳を輝かせてる。



「すごい、綺麗。でも家庭でやったら、電気代がすごいわよね」



………所帯臭いな。



「この電気代って、市からかしら?」


君が気にする事?




「多分、街からじゃないかな」


返答しながら、僕は歩道の隅にあるベンチへと腰を落とした。

君も、僕の隣へと腰を降ろす。




見上げた景色は、控えめな電飾の効果もあるのか、星空がはっきりと映し出されていた。




「イルミネーションもいいけれど、私は星の方が好きだわ」


君は瞳を細め、眩しそうに、懐かしそうに、星空を見上げている。


「僕もだよ」

「ねぇ、星座って覚えてる?」

「星座?」

「そう、星座」

「あまり詳しくないなぁ。北極星くらいしか知らないよ」

「ふふ…実は私も」




君は、控えめに小さく笑った。



「知らなくても、綺麗だと感じる事はできるよ」

「ええ、そうね」

.
< 26 / 31 >

この作品をシェア

pagetop