ハツコイ☆血肉色
キサマ?

鏡越しに円城寺くんを見ると、びっくりするほど顔を真っ赤にしていた。


「ど、どうしたの?」

「なにが詰まってるんだ。シリコンか? ヒアルロン酸か? 脂肪注入か?」


ばれた。やばい。


「お、おっぱいのこと? まさか、天然だよ。あはは……」

「しらばっくれるな! この僕にごまかしはきかないぞ。まがい物だ、これは。詰め物をするなんて……乳房を冒涜しているのか貴様。こんなモノには、なんの価値もない。僕をなめてるのか? ええ?」


これから円城寺くんが舐めるんじゃないの?

冗談めかして言ってみようかと思ったけれど、彼の様子からしてそんな軽口をたたける雰囲気じゃなかった。


「こんなモノのために僕は今まで……。ふざけやがって。よくも僕の貴重な時間を無駄にしてくれたな。僕がこの世でもっとも不愉快に思うことがなにかわかるか? 時間を無駄にさせられることだよ。死ね。お前にもう用はない」


円城寺くんはわたしの髪をつかみ、後ろに思いきり引き倒した。

背後の壁に後頭部を強く打ちつけて、わたしはその場にうずくまった。


「いったあ……」


あまりのことに唖然としていると、わたしの顔をめがけて、円城寺くんの蹴りが飛んできた。

反射的に頭をかかえこむ姿勢を取ったものの、腕の上からものすごい衝撃を受けて、わたしは床に倒れこんだ。


わけがわからなかった。

こういうプレイなのだろうか……?

円城寺くんってドS?

見上げると、円城寺くんは悪魔のような顔をしていた。


「お、お、落ちついて円城寺くん!」

「死ぬんだよ、お前は」
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