~Snow White~『一巻』
小さい霊園だった。
住宅街にある見落としてしまいそうな
父と母はここに眠っている。


花束を抱えて
墓に向かった。


隅っこにひっそりと建つ墓


「パパ、ママ、元気だった?」


私は大きな花束を墓の前においた。


「ママの大好きなお花よ。
それから・・・・
雪湖の王子さまも一緒だよ・・・」



「吉沢 智久 です。」



「あのね、高校生になったんだよ。
学校は楽しいよ。
家はね・・・前までは苦しかったけど
今は不思議に辛くないの。
トモが私を見ててくれるから・・・・
辛い仕事も辛くなくなった。
人間って簡単なのね。
心が少しでも幸せなら
全てが幸せ色に満ちてくんだもん。」


そう言って
智久の肩に寄り添った。


「安心して・・・トモがいたら
辛くない・・・・」

智久は私の肩を抱き寄せる。
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