窓に灯

 厳しかった高校生活とは比べものにならないほど緩い大学生活。

 講義はほとんどがつまらないし、眠い。

 この大学で、一体何を学ぼうとしていたのか……。

 俺は早くも忘れてしまっている。

 恵里は厳しいファッションの前線へ飛び込み、日々新しいことを学んで生き生きしているというのに。

 こんな俺を、恵理はどう見ているだろうか。

 勉強以外何もできない、情けないやつだと幻滅されていないだろうか。

 俺は優しくて逞しくて、その上カッコイイ恵里を心底愛している。

 毎日同じ部屋で生活することにこの上なく幸せを感じている。

 できれば今すぐ籍を入れて、俺に縛り付けておきたい。

 しかし、どんどん浮き彫りになっていく俺の無力さ。

 恵里はそれを、どう捉えているのだろうか。

 知りたいが、聞くのは怖い。



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