窓に灯

 ファッション業界に属していることもあって、恵里はどんどんキレイに、カッコ良くなっていく。

 磨かれていくファッションセンス。

 細いがバランスの取れたモデル体型。

 濃いメイクをしていても、毎日のケアでキープした美肌。

 そして、生まれもった美貌。

 見合う男でいたいと、努力はしているが、最近はどうも置いていかれている気がしてならないのだ。

 俺は特別顔が良いわけでもない。

 肉体美もない。

 更には金もない。

 もっといえば、たぶん、アッチのテクがあるわけでもない。

 ないないだらけの俺。

 同じ部屋に住んでいても、密かに焦り出していた。



 恵里を誰かに取られるのではないか――……と。



 

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