恋せよ乙女

「…っ。もういいよ、紫音。引き止めて悪かったね。ほら、もういいから、早く教室に向かいなよ。」


まじまじと赤い頬を見つめるあたしから顔を背け、氷室さんは早口でそう言い放った。

でも、そんなの無視…というかスルーして、あたしは言葉を続ける。


「いいえ、氷室さん。あたし、氷室さんが素直に気持ちを話してくれるまで、ここから出ないことに決めました。」

「…何言ってるの。僕はいつも素直だろ。それに紫音、勝手に決めないでくれる?…っていうか、キミが出て行かないなら僕が出て行くまでだけどね。」

「いやいやいや、それはダメでしょ。ルール違反です。」

「ルールって何。」


あたしの言葉に呆れた表情を浮かべ、本当に出ていこうとする氷室さんの左腕に必死にしがみつき、何とかその場にとどめた。
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