恋せよ乙女
立ち止まっていたあたしを置いて店内に入っていく氷室さんの背中を追い掛け、あたしも急いで店内へと入る。
店内は外とは違うひんやりとした空気が漂い、とても心地よかった。
「…ほら、紫音。会計済まして来るから、そこで待ってて。」
「あ、はい。」
店内に入って、僅か数分。
あたしが商品を眺めてる間に目的のものを見つけたらしく、あたしに出入口で待つように指示して会計へと向かった氷室さん。
それにしても、相変わらず早いお仕事で。
せっかく買い物に来たんだから、もう少しゆっくりすれば良いのに、なんて、思わなかった訳じゃないけれど。
あえて何も言わなかったのは、氷室さんが少しだけ、何か急いているようにも見えたから。