恋せよ乙女
「…そう。なら、悪いけど頼むよ。」
「はい。」
呆れたように笑みを零す氷室さんに続き文具屋を出た。再び降り注ぐ日差しと取り巻く喧騒に、思わずあたしも眉根を寄せる。
「氷室さーん、次は?」
「次?次はそこだよ。」
「そこだよって…。花屋ですか?」
「うん。」
ふと尋ねた問いに示されたのは、文具屋の道路を隔てた向かい側にある、大きな花屋で。
目立つ看板に加え、出入口に飾られている色鮮やかな花々。それらを一通り眺めたあと、氷室さんと一緒に中へと踏み込んだ。
「…花って、玄関ホールとかに置くやつですか?」
「そうだよ。」
「早くないですか?買うの。まだ約2週間ありますけど。」
刹那、不意に浮上してきた問いを氷室さんの背中にぶつける。でもその問いに、氷室さんはまさか、とでも言うような表情をして振り返った。