恋せよ乙女

「当然、今日買う訳無いだろ。今日は予約のみ。土壇場じゃ何が起こるかわからないしね。」


そう言い残し、氷室さんは店員がいるカウンターの方へ行ってしまった。一人残されたあたしは、仕方なく自分を囲んでいる花々へと視線を移す。

ヒマワリ、スイートピー、フリージア、カスミソウ、バラ……。もちろんそれだけじゃなく、奥の方には鉢植えの花もあって。

その中で、一際目立つ赤色。
大きく、葉の緑の中に映えるその花に、あたしは目を奪われた。


「ここ、ハイビスカスまであるんだ…」


“ハイビスカス”

あたしの、何よりも大好きな花。
本物は久しぶりに見たけれど、まさかこんなところで見られるとは思っていなかった。
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