恋せよ乙女

どこが好きかって、そう聞かれたら何て答えればいいかわからないけれど。とにかく、小さい頃から大好きな花。


「何、紫音。この花好きなの?」


突如、頭上から聞こえてきた声に、屈み込んでいたあたしはハイビスカスから視線を上に向ける。すると、珍しそうにハイビスカスを眺める氷室さんがいて。


「綺麗な花だね。見てるだけで元気が出るような、そんな感じ。」


そう言ってあたしに向けて笑ってくれるから、ドキッとしたのを隠すように視線をハイビスカスに戻した。 でも――…


「……でも、氷室さん。」

「ん?」

「その花、咲くのはたった一日で、朝に咲いたら夜にはもう、萎んじゃうんです。」


確かに、大きくて華々しいこの花を見ていたら、元気になるようなそんな感じもするし、実際、この花には『華やか』という花言葉もあるくらいだけれど。

花自体はたった一日の命。
とても短く、儚い。
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