恋せよ乙女
「……人の顔見て笑うとか、紫音の方が酷くない?」
「あ、すみませ…っ」
不意にバッチリ絡んでしまった視線に、バツが悪くなって視線を下に向ける。
そして、窺うようにゆっくりとまた視線を上に向けていけば、氷室さんはまだあたしの方を見ていて。
「…あの、何ですか?」
「あ、いや…。うん、紫音。唐突で悪いんだけどキミ、甘いもの大丈夫だっけ?」
「?…まぁ、はい。大丈夫も何も、大好物ですが。」
「そう。それならいいんだ。」
「?」
本当に、言葉通り唐突な問い。
脈絡も何も無い会話に、疑問だけが膨らむ。
でも当の氷室さんはあたしの答えに満足したらしく、明らかに晴々とした表情で視線を前方へと移した。