恋せよ乙女
「絶対に恭君を、あなたには渡さない。」
そう言い放ち、もう振り返ることなく鈴木さんは生徒会室を出て行く。一人残されたあたしの胸には、不安や得体の知れない恐怖が渦巻いた。
全ては鈴木さんの戯言だと、そう思いたいのに。わかってはいるのに。
心からそう思うことができないのはきっと、鈴木さんの言葉にも納得してしまう節があったから。
“恭君の好きという気持ちと、加藤さんの好きという気持ちは、同じようで全然違うのよ。”
そうだよ、わかってる。
いつもいつも追い掛けるのはあたしだけ。
少し向き合ってくれるようになったからって、根本的な関係は何も変わっていない。
いくらあたしでも、不安にならない訳じゃないんだ。