恋せよ乙女

そして、窓辺に置かれた椅子に腰掛け、視線を青い空に投げる。思いのほか眩しかった光に目を細めれば、刹那、視界がいきなり暗くなって。


「加藤、暇そうだな。」


あたしの前に立ち塞がり、光る汗を拭いながらそう零したクラスメート。にやりと上げられた口角を見つめていれば、彼はゆっくりと口を開いた。


「悪いんだけどコレ、裏の資材置場に置いて来てくれねーかな。ちょっと俺ら、まだ手離せねーんだわ。」


そして差し出された、段ボール一箱に詰め込まれた工具や部品。あからさまに嫌な顔をして見せれば、彼は申し訳なさそうに顔の前で手を合わせる。


「なっ?頼むっ!見ての通り、大道具は明日に間に合うかどうかの瀬戸際なんだって。」


まぁ確かに“見ての通り”てんてこ舞いのようだけれど。別に予定通り進んでいたはずの作業、余裕こいてたから前日に焦るのよ。
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