恋せよ乙女
作業やら準備やらで賑わう廊下を通り、中央階段へと向かう。途中覗いた教室で偶然にも氷室さんの姿を見つけ、思わず頬が緩んだ。
……それにしても、重い。
しかも、箱のせいで階段を下りるときは足元が丸っきり見えないし、本当に最悪。
こんなのをあたしに頼むなよなーなんて、今さらながら心の中で悪態をつき、階段を下りきると同時に小さくため息を吐いた。
――刹那、
「……鈴木さん?」
玄関から入ってきた鈴木さんらしき人影を視認し、咄嗟に階段の影へと身を隠す。
どうしてあたしが隠れなきゃならないのか、なんて、そんなの今はどうでもよくて。
ただ、会いたくない。
顔を合わせたくない。
その一心での行動だった。